[A.I.] 十夜一冊 第六百六十夜 記号創発ロボティクス 知能メカニズム入門

谷口忠大著「記号創発ロボティクス 知能メカニズム入門」(講談社選書メチエ、2014年)。売れているみたいだね。6月に発売でその頃偶然に購入したのだが。7月1日の「ストーリーテラー」という記事で一度取り上げている(07/01/2014: [日記] ストーリーテラー)。

昨日、山鳥重先生の「言葉と脳と心 失語症とは何か」(講談社現代新書、2011年)をたまたま見つけて購入した。これについても近いうちに取り上げるかもしれない。山鳥重先生の著作は「脳からみた心」(NHKブックス、1985年;25刷 1999年)を読んで、感動した覚えがある。それから、山鳥重著、「わかる」とはどういうことか---認識の脳科学(ちくま新書、2002年;6刷 2003年)も持っている。いずれもわかりやすく興味深い本だから、よく刷を重ねている。後者の『第2章「わかる」ためのてがかり---記号』の最初に「1 記号の役割とはなにか」が置かれている。最初から少し引用しよう。

われわれの祖先がいつごろ言葉を獲得したのかはわかっていません。数十万年前かもしれません。あるいは、わずか数万年前なのかもしれません。いずれにしても、われわれの祖先は言葉を獲得して以来、さまざまなモノやコトに名前をつけ続けてきました。名前をつけるというのは、記憶心像に音声記号を貼り付ける働きです。

(中略)

これらの、感覚処理様式ごとに作り上げられている記憶心像をひとつにまとめるのにカミという記号音が使われているのです。

これは大変な発明です。

人類の進化過程のどこかの段階で自然発生したのでしょうが、でも発明と考えたくなります。大脳が発明した、とでも表現せざるを得ない新しい働きです(専門的にはこのように生物に新しい働きが自然に出現することを「創発(そうはつ)」と呼びます)。

ここで、記号音とは言葉そのものである。いつの頃からか、人間と言う生物に、記号音、すなわち言葉を使って記憶心像をひとつにまとめるという働きが創発されたということになる。

「記号創発ロボティクス 知能メカニズム入門」の「記号創発」には、ロボットにもそのようなことを起こさせることができるのではないかという考えが込められている。

もう一つのキーワードは構成主義だけど、もう少し、読み進んでから、別の夜に取り上げよう。

更新: 2014-07-13T05:50:22+09:00

[本] 十夜一冊 第六百五十夜 情報ジャングル・サバイバル・ガイド

今朝は大雨だったが、帰りはほぼ止んで、低く垂れ込めた雲が山々を覆っていた。早くも一年の半分は過ぎ去り、今週もいつのまにか過ぎ去り、明日は金曜日かと帰りながら少し驚いた。リチャード・S・ワーマン著「それは情報ではない。 無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン」(MdN、2001年、原著: Information Anxiety 2, 2000)を十夜一冊としても取り上げよう。

最初にこの本を手に入れた時、確認していたはずだが、Information Anxiety(邦訳: 情報選択の時代、1990年)とInstruction Anxiety(邦訳: 理解の秘密、1993年)を、簡単に言えば一つに合わせてアップデートしたものというような説明が解説の中の404ページにある。Webがインターネット上にサービスとして登場したのが1991年であり、アップデートされる前の著作はメディアとしてのWebの進展を前提としたものではない。アップデート前後でどのように内容が変化したのかは興味深い。

裏表紙の帯に次のように本文が引用されている。

複数のチャンネルが二十四時間休みなく番組が流れ続ける現代では、ナビゲーションのルールを変わってくる。その中で、いかに意味深い旅ができるようになるか、情報を作る側は考え方を変えなくてはならない時に来ているのだ。どのようにしたら人は理解までの道を見つけられるのか、情報を作る側は、いかにして彼らの旅をより意義深いものにするか、本書の趣旨はそこにある。

テレビは本書が書かれた2000年当時と同様に依然としてほとんど休みなく情報を流し続けているが、僕自身は最近はテレビを点けることがほとんどなくなった。もちろん良い番組がないわけではないので、選んで視聴するようになっているからかもしれない。つまらない話題が多過ぎることも事実。ながら族の習慣がいつのまにか消滅してしまった。意味深く、意義深い旅とは・・・

記事のタイトルにした「情報ジャングル・サバイバル・ガイド」は表表紙の帯にある言葉だ。つまらない情報は、見なければ済む話だが、情報ジャングルの中に求めている情報を探し出すためには、センスと意欲と忍耐力が必要だ。逆に、伝える側はどうあるべきかというお話が本書の主題である。

「情報をいかに正しく理解し、理解させるか---これがデジタル時代にビジネスを成功させるための鍵である。」

更新: 2014-07-04T06:30:05+09:00

[本] 十夜一冊 第七百夜 ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環

shi3z氏のFacebookで、「蟹のカノン」を見つけ、視聴して、素晴らしいプレゼンテーションだが、後には、バッハは意識して作曲したのだろうかと謎が残った。知りたいと思った。Facebookの関連の項目に、表題著作のリンクがあった。僕が持っているのは、1985年の白揚社の初版第七刷(原著は1979年でピューリツァー賞を受賞)だが、この本は20年後の2005年に20周年記念版として再刊されている。ここに何かがあるかもしれないし、ないかもしれない。

本の方は後回しにして「蟹のカノン」を調べると、【回文音楽】ここまでくるともう… 奇才バッハが生み出した永遠に終わらない旋律が凄すぎる!!(1/2)|TOCANAを経由して、La banda de Möbius y la música | :: ZTFNews.orgに辿り着いた。ここに示される楽譜を見ると、二声の楽譜になっていて、これを分解し、成り立っている構造を解説して見せたのが、前出のJos Leys氏の「J.S. Bach - Crab Canon on a Möbius Strip」ということになる。

ただ、音楽の捧げもの - Wikipediaを参照すると、『10曲のカノンは「謎カノン」と呼ばれる形式で書かれている。即ち単旋律に記号が付されており、演奏者はその記号に基づいて曲を完成させねばならない。』と書かれており、二次的な楽譜を見て、バッハが何を考えていたのか、判断するのは難しそうだ。

楽譜はMusikalisches Opfer, BWV 1079 (Bach, Johann Sebastian) - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜で見ることができるが、普通の楽譜なので、謎カノンという形式ではない。先日購入したBRILLIANT CLASSICSのJ.S.BACH COMPLETE EDITION(CD19の7 Canon a 2 cancrizans)では、楽譜の19小節目、二声のパートから演奏されている。

詳しい話は、'Thinking Through Singing' The Strategic Significance of J.S. Bach's A Musical Offering by David Shavinに見つけたが、まだ解読できていない。

さて、本の方に戻ろうかな。こちらも奥が深そうだ。でも、時間がない^^;)散髪に行ってこよう。次回を待て・・・

(追記) 二度目の「さて」、今日は宇品の花火大会。さっぱりした頭で出掛けます。音楽も本も難しそうだ^^;)各種デバイスの充電完了。

更新: 2014-07-26T18:46:20+09:00

[本] 十夜一冊 第七百一夜 蟹のカノン

明け方、雨の音で目が覚めた。昨晩の花火大会が雨乞いになったのかもしれない。今はもう蝉たちが盛大に鳴いている。猛暑の夏だ。ここ数日、最高気温は35℃を超えている。さて、謎カノン形式の楽譜自体はまだ探せていないが、 IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリーの「Canon a 2 cancrizans」の楽譜には「Canone Inverso Dall'"Offerta Musicale"」と「Canone Cancrizante」のタイトル表示と、反復記号がある。フェルマータを考慮すれば、二声になった部分を反復すると解せばよいのかもしれない。

../images/2014/07/CIMG2420m.JPG蟹のカノン

バッハの「フーガ」 ~「音楽の捧げもの」に見るフーガの真髄~ 2011年 6月 25日が僕にとっては最もわかりやすく親切な解説となった。音楽之友社の「音楽の捧げもの」の楽譜を見ればよいらしい。著者は横浜フィルハーモニー管弦楽団の方。歴史のあるアマチュアのオーケストラとは驚いた。


そろそろ、本に戻りたい。第七百一夜といっても書いているのは真夏の朝だ。本を読むのは夜だとは限らない。ただ、この本は奥が深すぎる。ゲーデルとエッシャーとバッハが溶けあっていて、それは結局何を示しているのか。入り口で途惑っている自分がいる。少しずつ齧るしかない。ゲーデルの証明を一度は辿ったことはあり、なるほどそうなっていると思ったが、それが何を意味するのかを十分理解しているとは言い難い。それをエッシャーやバッハを通して説明している。

後、八夜で終わればよいが、小数点の夜に展開するかもしれない。

(追記) J.S. Bach Complete Edition (04/18/2014)のDVD-ROMを思い出して、調べると元の(?)楽譜が出てきた。バッハの「フーガ」 ~「音楽の捧げもの」に見るフーガの真髄~に引用されているものと同一。これが謎カノン形式と思われる。

../images/2014/07/CIMG2422m.JPGCannones diversi super thema regium.

IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリーの「Canon a 2 cancrizans」の楽譜とはまったく異なる。「cancrizans」はフランス語で逆行という意味。「ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環」の第44図も別の楽譜が掲載されているし、後は、専門家の解説を読むしかないね。



更新: 2014-07-27T13:47:38+09:00

[本] 十夜一冊 第七百二夜 PART I - GEB 序論 音楽=論理学の捧げもの

「ゲーデル、エッシャー、バッハ あるいは不思議の環」がこれまで拾い読みに終わっていたのは、まず、バッハの重要性を十分に理解していなかったからである。なにしろPART Iに置かれている「序論」のタイトルが「音楽=論理学の捧げもの」となっており、第1図の楽譜を持ったヨハン・セバスティアン・バッハの有名な肖像画と合わせて、バッハが「蟹カノン」が収められることになる「音楽の捧げもの」を制作することになった経緯とその詳細な構造が語られるのである。最初からバッハの伝記の一部のような様相を呈するのだ。バッハに興味がなければなかなか読みにくいだろうと思う。ゲーデル、エッシャー、バッハのいずれか一つにでも興味がなければ本書を読み通すことは困難である。もともと、ゲーデルの定理を中核としたエッセイを書くつもりが、日本語にして800ページに及ばんとする大著となったのである。

僕がバッハに興味を持ったのも本著の存在が潜在意識を刺激し続けたのかもしれない。直接的には、グレン・グールド、アンドラーシュ・シフ、マルタ・アルゲリッチや家内のバッハの演奏の影響で、例のコンプリート・エディションを入手するに至るぐらい興味を持ったからだろう。そして本書を読み解こうとした決定的な要因は、例の「蟹カノン」の解説ビデオだったわけだ。Douglas R. Hofstadter先生が選んだ蟹カノンの楽譜は、音楽之友社のOGT135「J.S.バッハ 音楽の捧げもの」の原譜の後の解決譜(Realisation)にほぼ一致した。

../images/2014/07/CIMG2424m.JPG「ゲーデル、エッシャー、バッハあるいは不思議の環」(白揚社、1985年)と「J.S. バッハ、音楽の捧げもの OGT135」(音楽之友社、1955年)

PART Iの前に「GEBの概要」が置かれており、これさえ読めば本当に概要がわかる。

・・・バッハにおける自己言及と相異なるレベルの間で交されるインタープレイを論じ、エッシャーの絵、さらにはゲーデルの定理に見られる同様のアイデアへと話は進んでいく。ゲーデルの定理のためのバックグラウンドとして、論理とパラドクスに関する歴史を簡単に紹介する。そして、機械による推論とコンピュータ、人工知能は可能かという討議へと進んでいく。最後に本書が生まれた経緯について、とくに、なぜ、どうして対話なのかを説明して、序論をしめくくる。

(『[序論]音楽=論理学の捧げもの』の概要からの引用)

この部分を読んで、もう一度読み直す必要があると感じた。バッハのカノンがゲーデルの定理の証明の過程にあるとすれば、どのようなことなのか。公理系が不完全であることを証明するとはいかなることを意味するのか、証明とは何なのかという長年の疑問に何か答えがあるのかと思ったからだ。

ホフスタッター先生は人工知能の有名な研究者であり、もう一度、最近の仕事を含めて調べてみる必要がある。「意識する心」で有名になったデイヴィッド・J・チャーマーズはホフスタッター先生の教え子であることも思い出した。それはともかく、実は、本書は、意味、コンピュータ、脳、心、思考、人工知能など、最近の話題が満載なのである。この本が1979年に書かれたなんて信じられないのだ。帯にある「21世紀を生きる知の結集」という表現の先見の明に脱帽する。

更新: 2014-07-30T00:28:32+09:00

[脳科学] 十夜一冊 第六百七十夜 ダイナミックな脳---カオス的解釈

津田一郎著「ダイナミックな脳---カオス的解釈」(岩波書店、2002年)。木偶の坊博士とデーモンTとデーモンOの脳の解釈学に関する対話。『複雑系脳理論---「動的脳観」による脳の理解』(サイエンス社、2002年)と対をなすが、こちらはなかなか手に入らない。前者がデカルトの「方法序説」で、後者が「省察」に当たるという。千夜千冊には、107夜『カオス的脳観』津田一郎|松岡正剛の千夜千冊がある。こちらのほうを最初に購入したのだが、1990年の本なので、新しいほうを取り上げよう。

「記号創発ロボティクス 知能メカニズム入門」を読了したが、脳自体の構造や機能がかなり判明しつつある段階で、単なる構成主義的方法でロボットを作るというのも少し物足りない感じがする。時系列のセンサ入力データから世界を認知できるようにしようという話で、それはそれで興味深く、工学的には多少の成功を収めていると言えそうだが、現段階では、おそらく、知能からは程遠い。それは多機能自動測定分類機とそれほど変わらない。結局、センサの時系列入力から意味(パターン?)を抽出し、記憶とか経験の形で、いかにして知識を蓄積し、臨機応変に活用するのかという機能が人工知能には必要になる。

認知言語学で言えば、経験基盤主義ということ。認知言語学が経験基盤主義をどの程度表現できているのかについても興味がある。

脳の中に現れるカオス。これもロボット設計者が考慮すべき問題かもしれない。ロボットを含めて相当な考察がなされているが、すべて引用したくなりそうなので、ここでの引用は最低限に止めておこう。読者は本書を読むべきと思う。

・・・私が情報単位といったものは機能を表現する媒体のことだ。多くの人はそのような単位で表現された機能を機能モジュール(機能単位)と呼ぶ。私はむしろ機能モジュールは存在しないといっているのだ。それが、全体的機能に応じて情報単位が変わるということの意味だ。ただし、ある短い時間の間、なにがしかのニューロン集団が一つとなって、ある機能を表現することがあるだろう。それを今はあえて、単位と呼んだのだ。実際には、もっとダイナミックに事は起こっているに違いない。それは、そのようなニューロン集団のサイズや構成メンバーが時々刻々と変化する様自体が、その時のある機能を表現するという、そういった情報表現である。

更新: 2014-07-17T20:59:30+09:00

[Chrome] ChromebookでAndroidが動く

ChromebookでAndroidアプリが起動出来るように。Googleがアップデートを発表 | Google Chromebook情報ポータル「chromebooker」ネタ。何が起ころうとしているのか。

Chromebooks: Acer C720P Chromebookを見ると、299ドルで、11.6インチ(1366x768)のタッチスクリーン付きのディスプレイがある。1.35kg。RAMは2GB、ストレージは本体の16GBのSSDに、購入後2年間は無料のGoogleドライブ 100GBが付いてくる。最初のGoogleドライブは無料で15GBまで。100GBなら、無料期間が過ぎれば、1.99ドル/月の費用が掛かる。

Chromebook入門:まだ知らない人のためのChromebook (1/2) - @ITChrome for AndroidChrome for a Multi-Device World - Google Chromeを読めば、Chromeがあらゆるプラットフォームで動作する環境になろうとしていることがわかる。グーグルはChromeアプリをあらゆるOSに移植しようとしている | ReadWrite Japanということだ。

逆にChromebookでAndroidが動くようになるということは、だいぶ違ったことになりそうな気がするのだが。AndroidのアプリをChrome OS上に移植するということなのだろうか。Chromeブラウザの機能の中で拡張されるということは、例えば電話の機能がHTMLの表現として拡張されるのだろうか。ある意味、Chrome OSがFirefox OSのようなものになるという話ではあるが、興味が尽きない話である。

Google I/O 2014のまとめとして、【山田祥平のRe:config.sys】【特別編】Android“L”とChromeが曖昧にするWebとAppの境目 - PC Watchはよい記事だと思う。

進む先はデスクトップとモバイルの融合である。しかし、問題はハードウェアのコストだ。モバイルデバイスにデスクトップの機能を載せることは既に可能だが、ハードウェアのコストも上がる。現時点、新興国向けのデバイスに、デスクトップの機能を載せることは難しい。iOSデバイスのハードウェアは進化を躊躇しているように見える。これらの矛盾を解消する新しい進化の方向性が見出されるのかどうか。Chromeの進化がその答えになるのか。Appleも新しい解を模索しているかもしれない。Chromeの前を走っているFirefox OSの進展にも注目である。

更新: 2014-07-06T10:13:27+09:00

[クラシック] フランス国立リヨン管弦楽団と五嶋龍

7月13日、シンフォニア岩国でフランス国立リヨン管弦楽団(Orchestre National de Lyon)のコンサートがあったので、五嶋龍の名前にも惹かれて、聴きに行ってきた。疲れていたので、車は止めてJRを使った。明け方は大雨で心配したが、帰りの列車が15分遅れたぐらいで大したことはなかった。

最初の曲はバーンスタインの「キャンディード」序曲。音が密度の高い波となって素早く滑らかに左右に揺れ動いた。5分程度の曲だが、オケの実力を示す素晴らしい演奏で、期待が高まると同時に、バーンスタインが作曲にも優れた人だったと認識させられた。

二曲目は、五嶋龍のヴァイオリンをフィーチャーしたラロのスペイン交響曲。交響曲のタイトルが付いているが、五楽章からなるヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンの名手、サラサーテに献呈された曲だが、初演では三楽章の間奏曲は省かれたのだそうだ。どちらかと言えば、静かで繊細なスペインの民俗的な雰囲気を持つ曲で、ヴァイオリンもテクニックは必要だが派手さはなく地味である。予約したA席は1階で、2階席が張り出した下ぐらいから後ろのほうで聴いた。颯爽として切れ味がよく、さっぱりとしていて、良い演奏だったが、ヴァイオリンの微妙な音の細部は少し聴き取りにくくて、もどかしさを覚えた。人気のカーテンコールは4-5回に及んだ。残念ながら、オケに遠慮したのか、アンコールは挟まなかった。

../images/2014/07/CIMG2190m.JPGコンサート会場のパンフと「ぶらぼお」2014年7月号の五嶋龍のインタビュー・ページ

三曲目が売り物のベルリオーズの幻想交響曲。管と弦の掛け合い、打楽器の活躍が目立つダイナミックな構成の五楽章で、オーケストラの実力が遺憾なく発揮された。編成上、よそでは簡単に聴けない曲なのかもしれない。聞けてよかったと納得の一曲だった。

アンコールは「Carmen's Hoedown」。シンフォニア岩国の帰りがけの案内に見たのは「Huedown」となっていた。指揮者のレナード・スラットキン(Leonard Slatkin)のお父さんフェリックス・スラットキンの曲だそうだ。打楽器も活かしたコミカルで楽しい曲だった。

後で、五嶋龍とお姉さんのデュオ・コンサートなど、是非聴いてみたいと思ったが・・・さて、実現するものだろうか。

[Computing] コンピュータの行く末はJavaScriptとともに

FreeXperia ProjectがXperia SPにFirefox OSを移植 - ガジェット通信わずか2000円台のFirefox OS搭載スマートフォンが新登場 - GIGAZINEネタ。

ところが、Firefox OS端末が日本で年度内に発売されないであろう5つの理由 - ITmedia Mobileのような記事もあって、ブラウザだけでスマホを作るには、まだまだ困難が待ち受けているのかもしれない。

そんなところで、簡単に進化は起こらない。じわじわと進んでいく。進んでいるような、進んだと思えば後ずさりしているような。

困ったところは、ブラウザがすべての世界ではクライアント側のマシンではJavaScript以外のスクリプティング言語を使えなくなること。ローカル・サーバーでアプリケーションを動かすような変則的な仕組みを使うことはできなくなる。Webにサーバーを自前で持って、ログインして自前のアプリを使う必要が出てくるかもしれない。もちろん、ChromebookやFirefox OSマシンだけでパーソナル・プログラミング世界が満たされるわけではないが・・・なにしろ、コストが低い。Chromebookは贅沢を言わなければ199ドルだ。タッチスクリーンを持たせて、299ドルだ。Firefox OSスマホは新興国向けは25ドル。Googleの「Project Ara」の基本モジュールは50ドルという。余程のことがなければ、わざわざ、500ドルとか1000ドルを投入するかということになりそうだ。

JavaScriptはNode.jsやAngularJS、Polymer.js/Web Component(Shadow DOMなど)を使えば、HTMLを拡張できるし、かなりのことができそう。DartやTypeScriptも加えれば、最早、他のプログラミング言語のことに気を掛けている暇はなさそうだ。

さて、JavaScriptネタで困ることはないぐらいの要素で一杯。ハードウェアはGoogleによればChromeさえ動けばなんでもよいということになる。

[Computing] enchantMOON発売一周年あるいは七夕 + 1日

enchantMOON 発売一周年 / shi3z:電脳ヒッチハイクガイド:電脳空間カウボーイズZZ(電脳空間カウボーイズ) - ニコニコチャンネル:生活ネタ。昨日はひどい雨だった。往きの車は泳いで走った。それは冗談だが、盛大に水をはねあげて走った。雷はひどかった。昨晩くらいから雨はほとんど止んでいた。昨晩の大雨警報は解除されたのだろう。JRのダイヤの乱れは大きかったようだが。

enchantMOON熱は少し冷めてしまって、現実が残っている。ページデータをデータベース化して他の環境で動くようにしなければ役に立たないわけだ。enchantMOONのハードウェアの中に閉じ込められたデータには興味は持てない。手書きデータをデータベース化して、さらに加工したり、メモ付けしたり、リンクを張ったりできるようにして初めて役に立つ。そういう利用環境を目指している。ただ、MOONPhase 2.9.0への対応が面倒くさくてそのままになっている。データはたっぷりあるのだけど。

他のアプリでも事情はそれほど変わらないので、結局は自前のデータ作りに精を出すことになる。ただ、そばに置いておくと、ちょっとしたメモをするのに重宝する。NotebookのHTML形式のエクスポートを標準でサポートしてもらえるとありがたい。要請は出しておいた。

[Computing] モバイルとアジアの時代

中国のインターネット・ユーザー:6.3 億人に到達! Mobile が PC を逆転! | Agile Cat --- in the cloudネタ。単純にはコンピュータ・ユーザーよりも電話というかSNSユーザーが多いことを示しているだけと思うが、PCからのアクセスが減っていることも報じている。

後悔しない高解像度:国内スマホ初のWQHDディスプレイ搭載 「isai FL」を使って分かったこと (1/2) - ITmedia Mobileのような記事に象徴されるように、ディスプレイは標準的なPCのディスプレイの解像度を大きく上回っている。オフセット印刷の解像度を上回り、印刷物さえも超えている。問題は一覧性とマルチウインドウによる作業性に関わる画面のサイズだ。これをモバイル・デバイスに求めても仕方がないわけで、PCの存在価値ということになるだろう。

それはともかく、これからの5年で、アジアがモバイル市場を完全支配する:それを示す1枚のチャート | Agile Cat --- in the cloudのお話。好むと好まざるとに関わらず、資本主義の原理に乗って、事態は動いていく。デバイスが小さくなって、資源とエネルギーの消費は抑えられているのかな^^;)この先に何が待つ。世界は一つ・・・混沌・・・政治家は考える必要がある。政治家だけでなく、みんなもだけど、リーダーはよりしっかり考える必要がある。

更新: 2014-07-27T01:20:52+09:00

[デバイス] 通信の新しい可能性をもたらすかもしれない - goTenna

電波が無い場所でもメッセージを送り合えるモバイルアンテナ「goTenna」 : ギズモード・ジャパンネタ。Bluetooth LEのペアリングを使って、81kmの距離まで交信可能だそうだ。

携帯電話の電波の届かない山の中でもつながれる。突然停電してもつながれる。WiFiのない環境のイベントや待ち合わせなどでもメッセージだけでなく位置情報を使えるので、離れていてもお互いの場所を確認できる。

こんなことができるのだったらもっとすごいことができるかもしれない。

[デバイス] GoProというウェアラブル

ちょっと古いけど、GoProはウォークマン同様、破壊的イノベーションである | 広瀬隆雄シリコンバレー101 (572) "スマホで十分"の時代に躍進、家電分野で3年ぶりの上場を果たしたGoPro | マイナビニュースネタ。

前者は、GoProはコンテンツ企業だという観点から記事を書いている。GoProは自分の求めているコンテンツ、サーフィンのエキサイティングな動画を生み出すためのデバイスであった。

後者は、GoProはソリューションとしてのウェアラブルだと喝破した。

[デバイス] ウェアラブルの行方

シリコンバレー101 (574) Android Wearよりも、今はiWatchに期待する理由 | マイナビニュースネタ。

「コンピュータから得ている知識量とそれを使用している時間を比べたら効率性は相当悪い」と最近のインタビューでGoogleのBrin氏が指摘したそうだが、知識の使用はともかく、知識を使って新しいものを生み出すのは本来効率が悪いものだ。今のスマホやタブレットは、例外的なものもあるだろうが、ほとんどビュアーでしかない。

ウェアラブルは何になるのだろうか。過去の記事を読み直しても、これだという答えは見えない。

[デバイス] goTenna詳報

圏外でもスマートフォンでメッセージを送受信できる無線デバイスgoTenna 予約受付中、150MHz帯を使用 - Engadget Japaneseネタ。

なぜ81kmも離れてつながるのかと思ったら、150MHz帯の電波を使っていた。アンテナとスマホをつなぐのがBLE。

[日記] ストーリーテラー

さて、毎日、今日は何を書こうかといろいろとストーリーを考えているのだが、なかなか書くに至らない。何ごとも簡単ではない。今年は寝苦しくて困るほど暑くはない。お天気ネタはしばらくなかったので、少し書き残しておこう。室温が30℃に達するとエアコンを起動する。28℃設定ぐらいで十分。今年はエアコンを掃除してもらった。それに合わせてミニ書斎も超きれいになった。快適だ。

関心のあるものはツイッターでフォローするほうが日記に書くより先になるのだが、フォローしてみるとイメージが合わないものもある。まあ、それもそれなり、問題はない。

小川洋子・岡ノ谷一夫著「言葉の誕生を科学する」(河出書房新社、2013年)は、岡ノ谷先生の「さえずり言語起源論」が主題なのだが、谷口忠大著「記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門」(講談社、2014年)にその話が出てくる。僕はそれを予感していたともいうことができる。勘に導かれて、心や言葉の問題に行き着くはずと中味を見ずに後者を購入したのだ。いずれ買うことになるだろうと著者名とタイトルが記憶に残っていたこともある。

言葉と心とコミュニケーションを廻って考えている。それは、情報、知識表現、プログラミングの問題とも関わってくる。

もう少しおもしろくストーリーを組み立てるつもりだったが、日が経つばかりなので記録しておくことにした。

さて、月の変わり目には更新日記関係のスクリプトがうまく動かなくなることがある。そこで月が替わったのに気が付く。存在していないデータを読もうとしておかしくなる。要は、古い月と新しい月のデータを作れば問題は解消する。この日記もそのために端折って書いている。そんなことで、適当に書いている。終わり。

更新: 2014-07-05T09:53:20+09:00

[日記] ひんやり

エアコンを点けずに北側と西側の窓を開けている。ひんやりした空気が流れ込んできた。PCのディスプレイのそばに掛けているアルコール温度計は28℃を指している。

さて、to be continued...

[日記] ふらふら感

ちょっと頭がふらふらする。肩凝りか、はたまた脳梗塞か^^;)・・・めずらしく頭がふらふらしている。ネットで調べるといろいろと原因があるらしい。少し気をつけないと危ないかもね。いろいろ有り過ぎ・・・疲れたよ。

今週もあっと言う間に過ぎ去る。毎週こんなことばかり書いていても仕方がないけど。台風の影響で長野も大雨という話もあったので、つらつらぐさをチェック。PCの復旧の話題だったので一安心。

考えてみれば、東日本大震災からまだ3年4ヶ月。そうそう、佐々涼子『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(早川書房)のメールが「考える人」から届いたので思い出したんだ。日本製紙石巻工場の再生の話。今回の台風で被災地は大丈夫だったのだろうか。

武田鉄矢の朝の三枚おろしは白川静ネタ。いい話だなあと思ってネタにしようと思ったのだが、何の話だったのか思い出せない・・・まあ、そんなもんだよ、やれやれ。あ、そうだ。このネタは、おそらく「私の履歴書 --- 知の越境者」(日経ビジネス人文庫、2007年)の白川静(1999年12月)の項によるものだろう。白川静先生は1910年生まれだ。大学紛争当時も大学でステテコ姿で研究を続けた。自宅には本を置けなかったのだそうだ。

まだ、ふらふらしている。メモとしてはこれぐらいにして、今日はもう休もう・・・

[日記] うむ、うむ、うむ、・・・

情報は山ほどある。さて、どこから料理しようかと焦るばかりかも。まあ、一つ一つ・・・

プログラミングのお話も急展開。Eclipseで「Android Application Project」を立ち上げたりしている。いまさら、Javaかよと思うが・・・ハードウェア絡みだとWebからはまだ難しい。いずれ、JavaScriptからプログラミングできるようになるのだと思うが、自在になるにはまだ何年か掛かるだろう。

Rakudo Star 2014.04のmsiが出ないので、こちらは止まったままだが、What I’ve been working on, and what’s coming up | 6gutsには、2014.08の構想まで発表されている。

[エネルギー] モバイル・エネルギー

Apple、燃料電池を数年以内にノートPCやモバイル端末に搭載? | スラッシュドット・ジャパン ハードウェアネタ。

さて、どのようなものが登場するのか。Intelligent Energy。

[映画] マレフィセント

「眠れる森の美女」が、実はこんな話だったという設定。アンジェリーナ・ジョリー主演。マレフィセント、主役。

アンジェリーナ・ジョリーは、僕にとってはトゥームレイダーのシリーズのクールでかっこいいアクションで有名になった。手元の2011.12.21のNewsweekにはボスニア紛争を舞台にしたラブ・ストーリーで監督デビューした時の記事がある。ジャニーン・ディジョバンニの署名がある。「POSSESSED BY WAR 悲劇を見詰めるアンジーのまなざし」。セレブらしくない人だと書いている。

../images/2014/07/CIMG2180s.JPGNewsweek 2011.12.21号の表紙

マレフィセントでは、ジョリーの男勝りのアクションスターとしての魅力が十分に発揮され、だれにも似ていない独特の美貌・風貌とクールな雰囲気がすべての映画だった。家内はその魅力に憑りつかれた様で、一気にファンになり、その夜、テレビで「ソルト」を熱心に見ていた。いずれも想像を超える表現に満ちている。

ストーリーはハッピーエンドのようだが、簡単ではない。単なる勧善懲悪というようなものではない。矛盾を孕んだ、悲劇的なギリギリの状況で生きる人を描くという意味ではどの作品も共通かもしれない。

マレフィセントはお勧め。マレフィセントには妖精という言葉は似合わない。やはり魔女だろう。角が生えていて、巨大な翼を持っている。

更新: 2014-07-07T22:52:20+09:00

[映画] TRANSCENDENCE

超越 (2014/06/09)の続き。昨晩見てきた。「Singurality(特異点)」という言葉の入った字幕が出るぐらいで、ジョニー・デップ(Johnny Depp)演ずる人工知能の研究者が超越するというお話。背景にはテクノロジーの進化に対する危機感・反発によるテロがある。ラブ・ストーリーと人間とは何かという永遠(永遠であればよいが^^;)の問題を人工知能によるトランセンデンスによって描いた秀作。

導入部の廃墟のような世界の表現から、どんな話になるんだろうと見始めたのだが、最後はジョニー・デップの迫真の演技で泣けた。エンディング・クレジットは最後まで席を立たずに見ること。そんなに長いわけではない。明るめのカントリー・フォークを聴きながら、涙を拭いて席を立とう。

トランセンデンス - Wikipediaの評価によると、評論家は酷評しているようだが、他にどのような描き方があるのか、難しいところだろう。2時間15分の時間の中に詰め込むためにはストーリーに限界がある。これから見る人のために詳しくは言わないけれども、できるかどうかは別として超越とは何かを明確に描いて見せたのは素晴らしい。超越しても神にはならず人間であることを選んだいう結論かもしれない。単純な娯楽作品ではない。アナ雪やマレフィセントでは味わえない未来を描いた問題作だ。

実際、もっと他の未来も描けたはずと考えさせる。観客の一人一人がどのような世界が有り得ると思い描いたか。明るくなった135席ぐらいのシアターには実は5名しか観客はいなかったのだが、エンディング・クレジットが終わり、スクリーンが白くなってからも、誰もすぐに立とうとはせず、何も言わずにモタモタと帰り支度を始めた。

更新: 2014-07-21T13:02:53+09:00

[Google] JavaScriptからDartへ

Dartプログラミング言語をGoogleのApp Engineがサポート…ついにサーバ言語としても位置づけ - TechCrunchネタ。

Googleにとっては、Dartを使うことは既定路線のようだ。Dart Editorをインストールしてみた。64bitのJavaはアップデートがいまのところ自動化できないので、32bit版に合わせた。このようなIDEはほとんど触ったことがないので、途惑ってしまうのだが・・・

[Perl] XML::Atomモジュール

本日記は、FeedをRSS1.0とAtom1.0で出力している。Atomには記事全体をxhtmlでentryのcontent要素に載せている。XML::StructやXML::SimpleのモジュールはAtomをXMLとしてしか見ないので、Atomとして解読しようと思うと、当然抽象化し過ぎになる。そこで、Atomの知識を持つXML::Atomを試した。以前試した時はうまく動かせなかったという記憶があるのだが、今回はほぼうまく動いた。使えそうだ。

更新日記の記事が一つずつ入っているentryの要素を出力するスクリプトを次に示す。

use XML::Atom::Feed;
use XML::Atom::Entry;
## Use auto-discovery to load the first Atom feed on a given page.
my $feed = XML::Atom::Feed->new(URI->new('http://text.world.coocan.jp/renewal_atom.xml'));
my @entries = $feed->entries;
foreach my $entry (@entries){
	print $entry->title,"\n";
	print $entry->link->href,"\n";
	print $entry->id,"\n";
	print $entry->published,"\n";
	print $entry->updated,"\n";
	print $entry->category->term,"\n";
	print $entry->author->name,"\n";
	print $entry->content->body,"\n";
}

例えば、「ひんやり」の記事のentry出力部分は次の通り。

ひんやり
http://text.world.coocan.jp/renewal.html#diary_1404307822
http://text.world.coocan.jp/renewal.html#diary_1404307822
2014-07-02T22:30:22+09:00
2014-07-02T22:30:22+09:00
日記
jscripter
			<p>エアコンを点けずに北側と西側の窓を開けている。ひんやりした空気が流れ込んできた。PCのディスプレイのそばに掛けているアルコール温度計は28℃を指している。</p>
<p>さて、to be continued...</p>
			

$entry->contentがHASHになっていることはprint出力してみればすぐわかるのだが、モジュールの説明を読んで、$entry->content->bodyでアクセスすればよいらしいことに気づくまでが長かった。Atomにはcontentにbodyという属性があるわけではない。実際のentryは次のようになっている。

	<entry>
		<title>ひんやり</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://text.world.coocan.jp/renewal.html#diary_1404307822"/>
		<id>http://text.world.coocan.jp/renewal.html#diary_1404307822</id>
		<published>2014-07-02T22:30:22+09:00</published>
		<updated>2014-07-02T22:30:22+09:00</updated>
		<category term="日記" />
		<author>
			<name>jscripter</name>
		</author>
		<content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://text.world.coocan.jp/">
			<div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
			<p>エアコンを点けずに北側と西側の窓を開けている。ひんやりした空気が流れ込んできた。PCのディスプレイのそばに掛けているアルコール温度計は28℃を指している。</p>
<p>さて、to be continued...</p>
			</div>
		</content>
	</entry>

忠実にbodyの部分を取り出している。タブの個数や改行まで再現されている。この記事を書いてわかったことだけど。ほぼうまくではなく、うまく動いた。僕のAtomのentryのcontent仕様の解釈はやはり正しかったということになるね。他のフィードリーダーでも読めるのだから、正しいとは思っていたが、xhtmlで記事内容を載せているフィードはほとんど見かけないのだ。・・・よかったな。

ブログやPodcastでRSSやAtomが流行した2003-2005年当時は、文字コードもUTF-8に移行することがほぼ前提であった。まだ本日記はShift_JISで書いている。Windows自体の文字コードが932(Shift-JIS)のままだからだし、過去のテキスト資産もShift_JIS。自作のツールもShift_JISを前提としているものが多い。UTF-8に変換することは容易いのだが、面倒なだけなのだ。UTF-8にすべて変換して、Atomに載せておけば、ある意味、移行は終わっているとも言える。

デザインを考えようとしていたのだが、モタモタしていると、モバイル・デバイスへの対応も必要になった。iUIも使い始めたが、着地すべき場所はまだ別の場所かなと思っている。記事の要素を自在に分解して、取り扱えるようにするために、XML::Atomは有効なツールとなりそうだ。contentの要素の意味的な分解が次のステップでは必要になる。記事の生成の方法を変えていくほうが先になるかもしれない。記事へのアクセスの方法ももっと違ったものになるかもしれない。

更新: 2014-07-06T09:53:17+09:00

[詩歌] 日本語の時間

日本語の時間 | ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日ネタ。久しぶりに、言語関係の話題。

西脇順三郎の「旅人かえらず」は、鍵谷幸信編著の「若い人のための現代詩 西脇順三郎」(現代教養文庫、1970年)で読んだはずだと引っ張り出すと、抄録だった。もちろん、以前も気づいていたはずだが、今回は、講談社文芸文庫の「Ambarvalia/旅人かへらず」を注文した。

ついでに784夜『雑談の夜明け』西脇順三郎|松岡正剛の千夜千冊ももうちょっとで手に入れようかと思ったが、もう一度、記事を読んで思いとどまった。主要な部分は「西脇順三郎詩論集」(思潮社、1967年)にも収録されていることを確認したからだ。「脳髄の日記」と「オーベルジンの偶像」。

西脇順三郎は18歳ぐらいで英語で詩を書き始めた。日本語の古めかしい文学体や雅文調を嫌ったからだ。オックスフォードではラテン語で詩を書き、さらに英語で詩を書いた。最初は韻を踏むものを、そして自由詩を書くようになった。最後に萩原朔太郎などの影響下に日本語で詩を書くようになったというおもしろい経歴の持ち主だ。アムバルワリアの中に出てくるラテン詩はそのころのものだそうだ。このような文学的遍歴は「脳髄の日記」に書かれている。

現代ヨーロッパの文学ではなるべく慣用的表現を使うなと教えている。自分自身の言葉で描写するように文章を書けと教えている。擬古体を避けることはもちろんのことであった。私はそういう教えを守ろうとした。擬古文の面白さや美しいことを知っているが、そうした教えを守らざるを得なかった。ところが日本語で書く時、どうしてもそうしたヨーロッパ人の教えを完全に守ることが出来ない。「アムバルワリア」の私の文章はよほど破壊的に書いているがまだ抜けきっていない。「旅人かえらず」は戦争のために回顧的に傾いている。あれは私の好きな文章のつくり方ではなかった。あの時は、ああしたスタイルが一番適切だと思った。今日、私の詩に用いる文章は口語体でもなく文語体でもないなるべく普通の中間的な存在の文章で書きたいと思う。

北園克衛が「旅人かえらず」を言わば私小説的と批判したことを念頭に書いたのかどうか。北園克衛の批判については、慶應義塾創立150年Webサイト│イベント│イベント報告 2007年|慶應義塾大学 藝文学会シンポジウム 「西脇順三郎とモダニズムの神話」が収録されている藝文研究 No.94の該当記事にある。慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)からPDFで読める。「旅人かえらず」全体を読んでまた書くかもしれない。

[詩歌] 十夜一冊 第六百八十夜 Ambarvalia(アムバルワリア)・旅人かへらず

西脇順三郎著「Ambarvalia(アムバルワリア)・旅人かへらず」(講談社文芸文庫、1995年;第5刷 2013年)が昨日届いた。2013年に5刷が出ているので取り上げておこう。根強い人気がある。

北園克衛が「『旅人かへらず』ヘの手紙」で「脆弱な東洋的頭脳の本能的な自己保存の祈祷である」、「致命的な欠陥は、彼らが経験なしには何ひとつとして書くことが出来ないという点である」と批判したそうだ。経験なしに何ひとつとして書くことはできないのは当たり前だと思うから、それが欠陥とは言えないだろうと揚げ足を取る。お二人とも明治生まれか。

大庭亀夫氏は「べ」言葉に言及していたが、西脇順三郎は新潟の出身。新潟の方言としては「べ」言葉はないみたいなのだけど・・・それはともかく、「旅人かへらず」の最初を引用しておこう。これを読んで、自己保存の祈祷とは思わないだろう。

旅人は待てよ

このかすかな泉に

舌を濡らす前に

考えよ人生の旅人

汝もまた岩間からしみ出た

水霊にすぎない

この考える水も永劫には流れない

永劫の或時にひからびる

ああかけすが鳴いてやかましい

時々この水の中から

花をかざした幻影の人が出る

(略)

おそらく、「花をかざした幻影の人」とは何かというのが問題なのだろう。

[ロボット] パーソナル・ロボットの時代

自動化が進んだ未来でも人間が続けられる仕事は? | スラッシュドット・ジャパン Slashdotに聞けネタ。これからはIT関係がいいんじゃないとか思っていたら、レイ・カーツワイルなどの本を読んでいると機械に負けてしまいそうで、どうも危なそう、姪には人類最後の辺境の一つ、創造性を必要とする芸術関係を勧めようかと思っているという・・・

21世紀半ばまでには、人類はロボットや人工知能などに職を奪われて失業するか、就職難に直面していると予測されている。もちろん、その頃、人口増や食糧難などの問題が解決していれば、仕事をする必要はないかもしれないが、さて、どんな未来が待ち受けているだろう。

孫正義氏が掲げる労働人口「1億人構想」--復活の鍵は“ロボット” - CNET Japan「ロボット構想」を打ち出した孫正義氏に思うこと--孫泰蔵氏と久夛良木氏 - CNET Japanの記事にあるように、ロボットによって人口減の日本は産業競争力を取り戻すのだろうか。

Asimoがちょっと賢く、もっと末恐ろしく : ギズモード・ジャパンのようにロボットは次第に進化しつつある。来日したオバマ大統領がAsimoの強烈なサッカーボールのキックにたじろいだのも無理はない。

少し古い予測だが、人口が減るのに街は失業者であふれる!?「雇用貧乏国」ニッポンの厳しすぎる未来|人口減少 ニッポンの未来|ダイヤモンド・オンラインのような見方もある。

もう資本主義のような物の見方では足りないのではと思うことも多い。世界から争いや戦争はなくなりそうもないこと自体、そこに根があるかもしれない。人工知能やパーソナル・ロボットを活用して、人類が幸せになれる世界を生み出せるとすれば、言うことはない。地球規模の観点から、資源・エネルギーや食糧の確保などにつながるような開発に注力すべき時代だろう。

最後に、日経新聞の2014年1月4日に掲載された「リアル(REAL)の逆襲 4」から引用しておこう。

「はやすぎるぎじゅつのしんぽ~」。取材班が持ち込んだ歌詞を入力して約10秒。コンピュータが自動的にテーマソングを作り、歌い始めた。「リアルの逆襲」の題字カットにスマホをかざせばARで視聴できる。

開発したのはヤマハ。世界を席巻する仮想キャラクター「初音ミク」に使われた音声合成技術「ボーカロイド」を改良した。これまでは曲と歌詞の両方を人が入れていた。新しい技術は歌詞を打ち込むだけで勝手に曲を作って歌ってくれる。

いまは8小節、約1万8千通りまでだが、データを増やせばもっと長く、多様な曲を作れる。開発責任者の剣持秀紀(46)は「創作のハードルを引き下げたい」と一般向け販売の準備を急ぐ。

人工知能は創作活動でも人間に取って代わるのか。「小説の主人公は作者の第2の自己」と語るSF出身の作家、筒井康隆(79)は否定的だ。「狂った主人公を書くには、コンピューターを狂わせなければいけない。センスのある狂わせ方はコンピューターにはできない」と一笑に付した。

人工知能による侵食は止まらないが「狂気を帯びない天才はいない」(アリストテレス)。芸術家のほとばしる才気が人間の最後の砦となる。

創作活動も侵されつつあるが、人工知能も天才や芸術家の狂気までは真似できないだろうという、本気とも諦めともつかない結論が最後にある。

しかしながら、人間はパーソナル・ロボットと楽しく生活していける可能性も十分にある。今のPCがPRに代わるだけに過ぎないかもしれない。

更新: 2014-07-19T23:26:01+09:00

[季節] 広島みなと 夢 花火大会 ~花火ミュージアム~

まずは花火写真を。

../images/2014/07/IMGP1161m.JPG広島県立大学前の交差点の手前で大渋滞

午後7時ぐらいだが、まだ明るい。広島港方面には許可のある車しか入れない。コジマは午後5時で閉店。イオンは開いて行き帰りの客を待っている。



../images/2014/07/CIMG2275m.JPG花火1

最初のクライマックス



../images/2014/07/CIMG2300m.JPG花火2

情熱の赤。



../images/2014/07/CIMG2340m.JPG花火3

おもわず、万歳。



../images/2014/07/CIMG2401m.JPG花火4

花火の繊細な色が捉えられた一枚。



../images/2014/07/CIMG2415m.JPG花火5

フィナーレは全面が花火だらけに。凄いの一言。



広島みなと夢花火大会 2013 (07/28/2013)が昨年の記事。昨年も芝生席で観覧したのだが、今年は出発を遅くしたのとお弁当を買うのに手間取り、7時40分に到着した頃には予約しているブロックはほぼ埋まってしまっていた。指定のブロック内でしばらく途方に暮れたが、結局、整理員の人に断って、ブロックの仕切りから横に食み出た少し広い空地に支給のシートを広げた。むしろ広々と場所を使えたのでラッキーだった。意図的に場所に余裕をもたせている空地なのだろう。ルーズにシートを広げていくとブロックの収容人数は減ってしまう。花火が始まる午後8時にはその空地もほぼ一杯になっていた。立ち見の人もかなりいたけど、問題はなかったのだろうか。

帰りの人混みが大変で身動き取れなくなる。立錐の余地がないとはこのことで、これを嫌って、子供連れの家族はフィナーレを見ずに席を立つ姿もチラホラ。毎年の光景だ。宇品波止場公園のほうに逆に入ってくる人の流れとぶつかるために動かなくなる。例年のことなので、交通整理をなんとかしてほしいものだね。大きな問題。

今年は帰りは自転車が走るのがだいぶ目立たなかったのは改善された点。危ないんだよね、自転車は。往きは危ないなあと思うことがあった。押して歩いてほしい。

花火写真の方は進歩がない。工夫も何もしていない。シャッターをやみくもに切っているだけだから。何台かのカメラを据えて、リモコンか何かで自動化して一定の時間間隔で撮影するのがよいかもしれない。1時間だから、3秒に一枚撮影しても1200枚にしかならない計算だ。この程度ならマイクロSDカードの容量の観点からはまったく問題にならないが、バッテリーが持つかどうかは少し検討を要するかもしれない。少し調べよう。

更新: 2014-07-27T07:54:22+09:00

[SF] 十夜一冊 第六百九十夜 ブラインドサイト

東京創元社が、ツイッターで、ピーター・ワッツ著、嶋田洋一訳『ブラインドサイト』(東京創元社、2013年)が第45回星雲賞海外長編部門受賞を報じた。昨年購入はしていたのだと思うが、凄そうと思いながらも積読になっていた。記事を書くのは読むきっかけにするためのようなもの。書いて考える。

1970年の第1回星雲賞海外長編部門の受賞はバラードの「結晶世界」。例によって、帯を紹介する。

突如地球を襲った65536個の流星群

一隻の宇宙船が太陽系外縁へ旅立つ

「意識」の存在価値とは? テッド・チャン瞠目の新世代ハードSF

世界10ヵ国で翻訳の黙示録的傑作

米国の原著は、ヒューゴー賞・キャンベル記念賞・ローカス賞など5賞の候補となったが、受賞0に終わっている。星雲賞を含め、翻訳された各国で受賞が相次いでいる。星雲賞受賞にピーター・ワッツがコメントを寄せている。久しぶりに抱腹絶倒かも^^;)

この難解なSFをよく訳してくれた。いつ英訳されるのかと・・・

65536は16ビット。これだけでもSFファンを惹き付ける仕掛けとしておもしろいけど、「意識」の存在価値をテーマにするなんて、それは読みたいと思った。主人公は、脳の半分を失った代わりに特殊な観察力を得た男、正に脳科学に関わる。

山鳥重(やまどりあつし)先生は、失語症を通して「言葉と脳と心」について考えてこられた。脳の障害についても詳しい。言葉と意識の関係はどのように捉えられているのだろう。

to be continued...