tsnetworkc3.png日曜プログラマのひとりごと  更新日記インデックス
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10/14/2002
topic_map_designer.png

今何をするとおもろしいか、ずーっと考えたり、調べたり、読んだりしているんだけど、それは知識の記述の仕方を考えることにつながってくる。知識の形態には様々なものがあって、例えば、小説もそうだし、その一種のSFもそうだ。知識の一形態としての小説について考えてみることもおもしろい。要は記述されたものはレベルの差こそあれ、すべてある意味で知識である。最近ではHTMLやXMLなどのマークアップされたテキストがある。特に意味づけされた構造化文書として、今後XMLを応用していくことは大変興味深いものになるだろうと考えている。しかし、まだ、「おーっ、凄い」というアプリケーションにはぶつからない。パーソナルな応用としては、これまで紹介してきたRSS/RDFによるニュース配信やJabberのようなメッセージング・サービス、GoogleやAmazonのWebサービスぐらいが、なるほどというレベルにある。知識の構造をビジュアルに表示するためのXMLとして、最近見つけたのが、Topic Mapsの記法、XTMである。既にPython、Perl、Java等のフリーのツールもある。ツールのなかですぐ動かせておもしろいのが、Topic Map Designerである。このようなビジュアルな三次元表示ツールが実際に知的生産に有効かどうかは議論の分かれるところだろうが、一つの方向性だろうと思う。


10/12/2002

「マトリックス」、最近テレビで放映されたが、やはりさすがにおもしろい。よくできた映画だと思う。全体的にはちょっと有り得ない設定なので、SFとしてはどうかと思うが、人間の頭脳がネットワークに接続して、コンピュータのプログラムと戦うのを視覚化して見せたのはおもしろい。この電脳空間サイバースペースを指すマトリックスという言葉は、ウィリアム・ギブソンの「ニューロマンサー(Neuromancer)」(黒丸尚訳、ハヤカワ文庫SF672、昭和61年7月15日発行、451ページ、560円)に出てくる。

その頃のケイスときたら、マトリックスと呼ばれる共感覚幻想の中に、肉体を離脱した意識を投じる特注電脳空間サイバースペースデッキに没入ジャック・インして−−若さと技量の副産物でもあったろうが−−ほぼ恒常的なアドレナリン高揚状態で活動していたものだ。」(15ページ)

「ニューロマンサー」は1984年に書かれている。Hobbes' Internet Timelineによるとホストの数は1000を突破したところで、現在のようなインターネットは存在していなかった。普通の人は知らなかっただろう。ギブソンの未来を見通す能力には驚かされる。1982年にARPANETでTCP/IPが使われ始め、アメリカから世界にネットワークが拡がっていったのだから、最初の動きを捉まえていたということなのだろう。しかし、人間の頭脳が直接接続されるのはまだ先のことだが(^^;)1997年に書かれたHobbesのインターネット年表の1984年の項には、"Neuromancer written by William Gibson"とある。最早、画期的な歴史的事実なのだ。もう少し引用しておこう。

われわれは<土龍モール>というウイルスをランらせた。この<土龍モール>シリーズこそ、本当の侵入プログラムの第一世代にあたる」(51ページ)

10/5/2002

女房を広島ガーデンパレスまで送り届け、帰り道にメガに寄って、1時間以上本を探索した。メガのコンピュータ書籍の棚の列は大分前に改装されたのだが、実は最悪である。Perl以外のスクリプト言語の書籍がほとんど消えてしまった。僕が大分買ったはずだけど、トータルの売れ行きはどうだったか知らないけどね(^^;)同じような本ばかりより品揃えが大切だよね。今や、書店の最大の競争相手はオンライン書店だと思う。書店にないと思えば、さっさとオンラインで買ってしまう。定番の本は揃えておかないと商機を逸すると思うけど。

コンピュータ関係はWindowsXPに隠されたDOSの世界なんていうような本がないか探したのだが、最早DOSのニーズも少ないのか、私が知りたいほど踏み込んだ内容のものはない。16ビットのアプリをWin32コンソールで動かす方法があるぐらいだから、もう少し系統的に研究した本はないかと探したのだが・・・

結局、コンピュータ書籍売り場を離れて、SFの売り場に、そこでクリプトノミコンの作者、ニール・スティーヴンスンのスノウ・クラッシュを入手。続けて小林秀雄の「様々なる意匠」を収録している文庫を探して入手。中公文庫を眺めると「考えることの科学」が目に留まってゲット。人工知能を考える場合に、推論について書いてある本が欲しかった。「本とコンピュータ」の秋号が出ているはずと以前見つけていた置き場所を探すと案の定出ているので手に取ってようやくレジへ。やれやれ、これで5000円札があっさりと消えた。でもこの程度はコンピュータ書籍等専門書1冊の価格に過ぎない。何か得した気分で帰途に就く。

メガ書籍購入記録 2002年10月5日(土)
著者題名発行発行日・版数ページ数価格
小林秀雄Xへの手紙・私小説論新潮文庫昭和37年4月10日発行、平成13年8月10日46刷274438
市川伸一考えることの科学 推論の認知心理学への招待中公新書1997年2月25日初版、2001年8月20日5版186660
ニール・スティーヴンスン(日暮雅通訳)スノウ・クラッシュ 上早川書房2001年4月30日発行389740
ニール・スティーヴンスン(日暮雅通訳)スノウ・クラッシュ 下早川書房2001年4月30日発行395740
「本とコンピュータ」編集室「季刊・本とコンピュータ」2002年秋号(第2期5号)トランスアート2002年9月10日1981500

昨日、日経だったかな、小林秀雄の全集、全作品の広告が出ていた。かなに新字体を使って、脚注も付くらしい。例として、「様々なる意匠」という小林秀雄の論壇へのデビュー作が示されていた。最初に引用されているのが、アンドレ・ジイドの「懐疑は、恐らくは叡智の始めかも知れない、然し、叡智の始まるところに芸術は終わるのだ。」という言葉だ。小説は芸術かどうか、あるいはSFやエンターテイメントの文章は芸術かどうかだけど、懐疑や叡智の始まるところに芸術は終わるとすれば芸術であることは難しいということになる。文章を書くこと自体が、懐疑の始まりであるから。

今日、午前中にNHKで満天を見ていたら、飛び魚が飛ぶ場面が出てきた。むなびれを翼のように水平に広げて海面を滑走するように飛ぶ。実は先日の朝、事故で渋滞の二号線を対岸に宮島を見ながら、海に目をやっていると何か海面から飛ぶのが見えた。目を疑ったが、放物線を描きながら、ジャンプを繰り返すように数匹の魚の群れが飛んでいく。これは飛び魚かな。遠すぎて大きなむなびれは確認できなかったが。子供の時の百科事典の記憶は南太平洋の青海原を飛んでいく胸鰭の長い魚のイメージだ。今日のテレビの画像はその明るいイメージにマッチしていたが、私が目撃した瀬戸内海の無彩色に近い穏やかな海面をジャンプしていく姿は何か寂しげだった。

10年に一つのSF大作、クリプトノミコン全4巻のお話の続き。クリプトノミコンというのは「暗号の書」の意。この3巻、「アレトゥサ」の41ページにPerlスクリプトがある。最初、ざっと探して見つからなかったので、早川書房編集部のお世話になってしまった(^^;)ありがとうございました。親切に教えてもらえた。しかし、このスクリプトは正に暗号っぽく書いてあるので(解説つきのわかりやすいスクリプトはThe Solitaire Encryption Algorithmにある)、本当に動くのだろうかと試してみた。簡単なミスが一つあるだけでエラーになるが、それさえ修正すればキチンと動く。編集部には報告しておいた。このスクリプトはSolitareというアルゴリズムで鍵フレーズを元に暗号を生成する。

エラーになるのは次の部分、スクリプトの8行目、

$o=~s/.chr(($f*&e+ord($&)-13)%26+65)/eg;
 スラッシュが落ちている。付け加えよう。
$o=~s/./chr(($f*&e+ord($&)-13)%26+65)/eg;
       ^
 これで動かすと、
C:\Scripts\Perl>perl pon.pl 'CRYPTONOMICON'
SOLITAIRE
^Z
KIRAK SFJAN

まだ、集中して読めずに2巻から4巻を行ったり来たりしている段階なのでなんとも言えないのだが、なんとも不可思議な小説である。悪乗りというか、ふざけているのか、何が言いたいのかはまだよくわからない。奇妙なエンターテイメント、元々SFはそういうものであるが。日本の文化や太平洋戦争を含む第二次大戦、コンピュータについての該博な知識を駆使して描かれている。俳句、Perlスクリプト、電子メール、コンピュータコマンド、数列、数式、グラフ、図などが満載である。

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