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日記: Text World | 脳髄の日記 | 第四の日記 | jscripter's Twitter | Facebook | Myspace(記事抄録や関連メモ: コメントはこちらにどうぞ)

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4/30/2019 (Tue.)

最近は音楽について語ることが多くなった。昨日は五嶋みどりさんのパーヴォ・ヤルヴィさんのインタビューを聴いた。広島文化学園HBGホールの「パーヴォ・ヤルヴィ指揮 エストニア・フェスティバル管弦楽団/ヴァイオリン:五嶋みどり」のプレ・イベントにて。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮 エストニア・フェスティバル管弦楽団/ヴァイオリン:五嶋みどり | イベント | 広島ホームテレビにあるヤルヴィさんのコメントにあるように広島の地における鎮魂という強い気持ちが込められた演奏会だった。ソビエト/ロシア・ドイツ・フィンランドに囲まれた人口150万という小国エストニアにヤルヴィさん自身が設立したエストニア・フェスティバル管弦楽団の活動状況・設立した意図などをMidoriさんがしっかりと引き出して伝えてくれた。エストニアも戦争の地であったのだろう。

プレ・イベントは13:15〜13:30の予定だったが、14:00開演10分前まで超過するぐらい、インタビューを挟んで、プロコフィエフとモーツァルトの演奏を含めて熱心に行われた。最初のMidoriさんの説明によれば、世界ではコンサートの趣旨を伝えたりするために、何がされるかは決まっていないが、行われるのだという。僕は、当日、プログラムを見て、プレ・イベントに気が付いて早めに出掛けたので、余裕を持って最初から聴くことができた。

プレ・イベント演奏曲とアンコール曲

プレ・イベント演奏曲とアンコール曲

いつも映し忘れるのだが・・・それはともかく、メインの曲目。

アルヴォ・ペルトはエストニア出身の作曲家。調べてみると、「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」には「弦楽オーケストラと鐘のための」という説明がついている。


エストニア・フェスティバル管弦楽団は世界中で活躍している音楽家とエストニアの若い音楽家からなり、最後にソロを取った各楽器の演奏家を称賛する時、特に管楽器の場合は演奏者自身が隣の若い音楽家を必ず立たせて紹介・称賛した。若い人を育てるという気持ちがみんなにあると感じさせた。

演奏はいずれも素晴らしい。前半の三曲の鎮魂の演出。後半のチャイコフスキーの交響曲第5番は初めて聴いたような気がするが、特に第二楽章の最初の管楽器と弦楽器の掛け合いの部分はオーケストラの面目躍如たるものだと思った。躍動感あふれる演奏だった。奏者たちも十分やり遂げたという満足感で最後に握手したりお互いに抱き合って称え合った。こういう光景を見るのは初めて。オーケストラの規模は80名ぐらいかな。ほぼ舞台は一杯、二階のA席から見たので、壮観だった。

娘はヤルヴィさんがスティーブ・ジョブズに似ていると言っていたが・・・精悍でエネルギッシュな指揮ぶりで素晴らしかったね。ヤルヴィさんはインタビューの終わりに、Midoriさんにあなたは最も重要な人だと言われていた。確かにインタビューがなければ、演奏会の趣旨やオーケストラの成り立ちが伝わらなかっただろう。

簡素なパンフと「タブラ・ラサ/アルヴォ・ペルトの世界」

簡素なパンフと「タブラ・ラサ/アルヴォ・ペルトの世界」

アルヴォ・ペルトの日本初?CD(ECM、1984)。Apple Musicにはたくさんのアルバムがリストアップされるが、最も古いのがこのアルバム。世界初らしい。このCDでペルトを知って以来、35年経って初めて、演奏会で聴くことになった。感慨深い。一年半前、ブックカフェ 15 - ヴィクトール・E・フランクル著、池田香代子訳「夜と霧 新版」(みすず書房、2002年) (2017/10/29)の機会に「鏡の中の鏡」を聴いた。


Arvo Part | Discography & Songs | Discogsによれば、1960年代に4枚のアルバムがある。アルヴォ・ペルト - Wikipediaに書かれていることは興味深いものだ。1984年以降のアルバムはティンティナブリと作者自身が呼ぶ様式の後期の作品群で、最もよく知られ、絶大な人気を博しているとしている。

更新: 2019-04-30T15:25:38+09:00
4/27/2019 (Sat.)

【クリエイター必見】セガラリーからテトリスエフェクト・共感覚体験装置 X1まで、水口哲也さんインタビュー Ep690 #4K #α6400 #対談 - drikin - YouTubeネタ。Gameネタだけではなくて、VR/AR/MR=XRネタでもある。

backspace.fmでは何度も話題になった水口哲也氏、初めてどんな人か知った。水口哲也の仕事とプロフィール | Tetsuya Mizuguchi’s official pageのページは是非訪れてみるべし。発想が凄いね。そして、音楽と感情に着目、言語以前の感覚を共有するものを作る。そう言えば、中村雄二郎先生には「共通感覚論」があるけど、もう一度チェック。792夜『共通感覚論』中村雄二郎|松岡正剛の千夜千冊

更新: 2019-04-27T23:16:13+09:00

ソニー前期越え「超」完全復活に影を落とす、大赤字モバイル事業の行方 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンラインの記事から気になって、2020年5G開始はポストスマホ時代を予感させる|Osamu Iwasaki(北海道 ←→ 東京)|noteを読んだ。

なるほどと思ったが、かなり飛躍があるとも思うし、そうなるのかもしれないという共感もあった。飛躍があると思うのは、まだHoloLensなどのMRデバイスが高価なので、誰もが簡単には試せないことだ。HoloLens 2は3500ドルだ。HoloLens 2 概要、機能、および仕様 | Microsoft HoloLens。まずは高付加価値の産業用途から普及を図る。通常のビジネスでは個人向けはどうしても最後になる。

Appleなら最初から個人向けを考えているに違いないと期待している。ゲームは個人的なものだから。ARKitを少し調べていこう。WWDC 2019は6月3日から7日に開催、iOS13など発表へ - iPhone Mania

4/26/2019 (Fri.)

#288:記者・嘉島唯さんのロジックはどこにある? - backspace.fm。アップルのプレスリリースやキーノートのジョブズのプレゼンから多くを学んだという。コンビニ記事が誰にもかかわる題材という話など、おもしろいことを言われる。backspaceでの詩的・文学的という評価も気になった。

もわもわ、もくもくと山々や島々の樹木が緑に湧き立っている。今日は二度目を聴きながら帰ってきた。

Yui Kashima (yuikashima) on BuzzFeedを読んでみた。ポッドキャストの内容がそのまま表れている。記事の題材の捉え方が斬新。

ネットで有名になったその後――ニコ動出身ピアニストの11年の記事の書き方、出だしから、普通のニュース記事とは違うねと思う。

更新: 2019-04-27T09:36:20+09:00
4/20/2019 (Sat.)

室温が26℃まで上がっている。外気温18℃。庭の亀も洞窟に入ったり出たりしていたが、とうとう今日は水盆に入っていた。ロボットの感情が、戦争のない世界をつくる。pepperくんに感情を吹き込んだ研究者、光吉俊二の挑戦。 - THINK ABOUT(2018.03.19)の話題。

ある人から【生田のいくバズ】光吉の人工知能スペシャル!Part@ - YouTubeをだいぶ前に教えてもらっていたのだが、ようやく見る余裕ができた。それで「光吉俊二」を調べ始めた。Lion's Heart | 光吉 俊二 | TEDxTokyo - YouTubeもあるぐらいだが、関連のビデオを見るぐらいではよくわからない・・・。ググると光吉俊二 - Wikipediaがトップに出る。

Pepperの感情を生み出した天才で変態 光吉俊二が感情にフォーカスする理由 #01 | CATALYST(2017.1.19)、光吉俊二氏が語るー超自我ロボットと道徳感情数理工学で目指す「笑顔のある社会」#02 | CATALYST(2017.1.19)と光吉俊二氏が語るー超自我ロボットとの対話が人類文明発展のカギ#03 | CATALYST(2017.1.19)も経歴を理解するうえでも興味深い。SYUNJI MITSUYOSHI HYPER SCULPTURE HOME PAGEによれば彫刻家としても相当優れた才能を持っていることがわかる。2007年以降、メンテされていないが・・・

「情動機械」といえば、マービン・ミンスキー先生だ。さらに遡れば「心の社会」がある。いまこそ、「心の社会」を熟読してみる時かもしれない。三宅陽一郎先生は「人工知能を作ることは哲学の足場を作ること」と「人工知能のための哲学塾」(2016年)の「まえがき」に書かれている。意外と哲学は人工知能のそばにある。今の人工知能に足りないところは人間存在からまだまだ遠いところにある。そうはいっても、人間自身が人間存在とは何かがわかっていないのかもしれない。

光吉俊二氏の文献は、ググれば「人間の感情を測定する」(2005)、「情動・感情判別のための自然発話音声データベースの構築」(2011)、「機械の心(感情認識から心理解析まで)」(2015)がすぐに読める。博士論文「音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究」(2006)は国立国会図書館で貸し出し中。音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究|書誌詳細|国立国会図書館オンライン。関連論文として「Non-verbal Voice Emotion Analysis System.」(2006)をResearchGateでリクエストできる。その他、「CiNii 論文 - 抑揚からの感情認識の評価--感性制御技術(ST)の評価と、人間の感情の評価法について」がある。

書籍は一冊あるが、発売後、自主回収となったといわれるいわくつきのもの、「STがITを超える 単行本 - 2002/6/8」。Amazonでは古書で出回っているものが入手可能だが、24,720〜52,572円と高価。情報としては古いと思われる。価値がないという意味ではないが・・・

入手が簡単なのは特許12件。数少ない論文を補完するものとなるだろう。最新のものは「意思創発装置、意思創発方法および意思創発プログラム」で、特開2017-188097。

比較的新しい記事としては、東京大学特任准教授 光吉俊二@ 感情と意思を持つロボットの誕生 ┃ アクションラーニング:質問会議の株式会社ラーニングデザインセンター(2018年3月13日)と東京大学特任准教授 光吉俊二A Pepperが世の中の戦争をなくす未来〜 ┃ アクションラーニング:質問会議の株式会社ラーニングデザインセンター(2018年3月14日)がある。

更新: 2019-04-23T22:51:45+09:00
4/13/2019 (Sat.)

日経新聞2019年4月13日朝刊7面で報じた。

日本経済新聞2019年4月13日7面

日本経済新聞2019年4月13日7面

アマゾンがとうとう値上げした。月100円に満たない値上げだが、実質的にプライム・ビデオの視聴料。408円/月。


コンテンツ・メーカーは過去と競争する必要がある。すべてが記録され、アクセスできるようになってきているからだ。本だって、一生に読む本が100冊だとすると、既に十分な本がある。千夜千冊さえある。新しい本を読む余地があるのだろうか。僕は一生五千冊説を支持するが、それも結構難しいことだと思っている。本を読んでさらに新しい動画を視聴する余地があるのだろうか。そういった疑問を超えるために、何を読み、視聴すべきなのか、人間が生きていくうえで、メディアの新しい仕組みが必要だと思われる。もちろん、「すべき」というのは不遜かもしれない。あなたは何を読み、視聴したいのかが問われるのかもしれない。

こうして次第にメディアの視聴も哲学になってくるわけだけど、何を読み、視聴するのかを支援する仕組みを組み立てる必要がある。これは本日記のテーマでもあるし、興味でもある。要は何が面白いかを追求している。

更新: 2019-04-14T12:01:42+09:00
4/11/2019 (Thu.)

シリコンバレー101(793) 雑誌を解体するAppleの読み放題サービス、紙の雑誌はレガシーに | マイナビニュースネタ。気になったことを調べ続けている。今や、どこにいても世界のことを調べ続けることができる。そろそろいい加減にしておこうか・・・もうすっかり忘れていたんだけど、いろいろと調べていると、なんだかトラブルが尾を引いていることがわかってきた・・・プロ野球速報がアラートを鳴らす、カープのトラブルもまだ終わらない・・・

News+のアナウンスを見たとき、Newsstandを思い出したが、まだ存在している。「週刊読書人」を、5年前、一時的に購読したことがあった。News+はMusicのような新聞・雑誌の定額サブスクリプションだ。日本でも限定的な範囲であれば可能性はある。検討してほしいかな。「週刊読書人」単体で、月1200円也。以前は、300円で週単位で購入できたはず。それが購読情報を復元しても出てこない。

実際のところ、紙の雑誌はレガシーであったとしても残してほしいと思う。もっとコストを下げる努力が必要なのではと思う。安くなければ、電子媒体に移行してしまう。

電子媒体は検索しながら読むような場合には便利なのだが、感覚的に本を捉えることが難しい。電子媒体側も工夫が求められる。

紙印刷媒体と電子媒体がセットになってはじめて、究極の本ができるのではと思うのだが、実際のところ、その姿は単なる組み合わせではないだろう。

更新: 2019-04-19T18:55:20+09:00
4/10/2019 (Wed.)

この本の原著(1969年)は、木田元先生の翻訳を除いた自著としては最初のもの。22年後の「学術文庫」版あとがきに記載がある。当時は正に世界的な学生の反乱の時代、哲学はサルトルの時代だった。

to be continued...

4/7/2019 (Sun.)

メディアは変貌を遂げつつある。これを主導したのは、Apple社の高画質モバイルデバイスだろう。すなわち、iPhoneやiPadである。Retinaディスプレイが最初に出てきたときはディスプレイが小さいのになぜそんなに高画素数を求めるのだろうと不思議に思っていた。今や、大画面を使うデスクトップPCのディスプレイの標準的な解像度、1920×1080を超え始めた。24インチのディスプレイだと、100dpiに満たない。昔は常識だった画面に画素の粗さを感じてしまう。Retina display - Wikipediaによれば、iMacは既に4K/5Kを実現している。Retinaとは網膜という意味で、人間の視覚に匹敵するものを目指している。

Apple TVは4KとHDに分かれ、PS4 Proは4K対応になった。テレビ放送も4K/8K放送がはじまった。4K/8Kの定義はスーパーハイビジョン - Wikipediaで確認しておくこと。Google Stadia - Wikipediaによれば、Stadiaも4K/8Kを想定した話になっている。

GAFAMとは、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの頭文字を並べた略称だが、確かに、存在感は大きい。毎日、何らかの形で使っている。

Amazonに関しては、AWS宇宙へ! アマゾンが衛星通信事業に参入。ロッキードマーティンと共同事業も - Impress WatchIoTデバイス数億台時代に備えるアマゾン。AWSはAIとIoTにどう取り組むのか - Impress Watchに注目した。今年は、メディアとしてImpress Watchに注目かもと思った。他では読めない記事。

更新: 2019-04-09T23:58:14+09:00
4/6/2019 (Sat.)

3/30の放送で番組終了ということで驚いた。残念。今晩、思い出して、Radikoのタイムフリーで聴き始めたのだが、番組の最初のアナウンスで知った。渡辺貞夫 Nightly Yours - Wikipediaには既に記載がある。

23年間続いたそうだ。始まりがあれば終わりがある。次は、是非、生を聴いてみたい。【コンサート情報】なかた美術館 NakataMuseum: 渡辺貞夫 クインテット 2019 - 2019年2月8日(木)を見逃してしまった。どこで聴くか、チャンスを探そう。What's New - Sadao Watanabe Official Web Site

更新: 2019-04-07T09:36:28+09:00

日記を検索すると、一昨年ぶりの植物公園。川沿いの桜を見つつ、向かう。昨年は広島城のお堀の周りを廻った。

桜近景

桜近景


桜遠景

桜遠景


チューリップ

チューリップ


蓮の花

蓮の花


アリッサム「クリアクリスタル」

アリッサム「クリアクリスタル」

アブラナ科の植物。奥に見えるのはアイスランドポピー。こちらはケシ科。最初はそちらにしか目が行っていなかった。手前の白い細かな花の密集に後から驚いた。


芝生広場の桜から見て展望台まで上がり、ツバキ園とうらら池から日本庭園に回って、ウグイスの鳴くのを聴いた。大温室ではハスの花の美しさにいつもながら感動する。奥の広い温室を通り抜けると、中央の通りを下に降りて、横道に入る。小さな子が関心を持って一生懸命触っているので気が付いたのだが、アリッサムの白い小さな花の絨毯に驚いた。そこを通り過ぎると、次は繊細な葉を持つ高く伸びたスマートな樹木を何だろうと話しながら、樹木名を記載した名札を探し、ケヤキであることを確認した。最終目的地のいつもの「森のカフェ」に入り、アイスコーヒー。カープ-阪神戦はひやひやものだったので、テレビ観戦は早々に切り上げて帰宅。最終的には圧勝に終わって胸を撫でおろすことになったのだが・・・

更新: 2019-04-07T09:47:09+09:00
4/1/2019 (Mon.)

今日は特に寒い。空気は明るく、冬の暗さはもう感じられないが。風が冷たい。庭の亀も小さな洞窟から顔を覗かせて長い間躊躇していたが、その寒さに冬眠に戻っていった。花見を楽しむにも寒すぎる。ベートーヴェンのピアノ・コンチェルトがその天才性をきらめかせながら進行している。オーケストラの秩序からピアノは一人で限りなく遠くへ高く駆け上っていく。そして戻ってきてゆったりと溶けあう。

1023夜『ツァラトストラかく語りき』フリードリッヒ・ニーチェ|松岡正剛の千夜千冊。この回の正剛先生の読解には目を瞠るものがある。こう読むものなのかと思わせる。

その前に一言注釈をつけておくと、ぼくがニーチェについてこのような試みをするのは初めてなのである。これまでニーチェについては内容のある発言は一度もしてこなかった。十行以上は書いてもこなかった。・・・文筆家たちも書評を頼まれないかぎりは、たいてい黙っている。そうではあるのだが、ぼくにおいては、ニーチェを書かなかったということはかなりめずらしいことなのだ。

この部分は、随分昔のことなので、次に書かれていることを忘れておられると思う。最初の部分だけ。

自分をひっぱる人力哲学 ── フリードリヒ・ウィルヘルム・ニーチェ

私はワグナーが語れない。ファウストの魂の像を説明しがたい。ニーチェの名を借りてなにかを議論したことがない。

それゆえいつまでたってもゲーテとニーチェを捕捉できた実感がない。なにかが決定的に私にむかって欠如している。儒学や仏教では「体」と「用」をつかってその思想を説明することがよくあるのだが、ワイマール・ゲーテをさかいに、「用」は見えるのに、西洋の超越的思考における「体」がつかみにくくなる。なぜなのか。

(松岡正剛著「遊学I」、Kindle の位置No.4712/4986、中央公論新社、Kindle 版)

最後の部分。

だから! だから私はやはりゲーテやニーチェを究めようとはおもうまいと決意した! 新しいニーチェ研究者ジル・ドゥルーズがこんなことを書いていた、「ニーチェをやるか、あるいは忘れることだ」というふうに。

(松岡正剛著「遊学I」、Kindle の位置No.4771/4986、中央公論新社、Kindle 版)

「遊学 一四二人のノマドロジー」の原著は大和書房、1986年刊行。中公文庫に2003年に二巻に分かれて載り、2004年にKindle化。いや、「自分をひっぱる人力哲学」自体は長くとも、確かに十行以上の内容は書かれていないのかもしれないのだが・・・千夜千冊に至る最終的な結論は『ぼくなりの言い方でいうと、ニーチェを「方法」としては読めないということなのだ』であるから。正剛先生は21世紀は「方法の世紀」にしたいと言われている。

それはともかく、忘れてしまうことも一つの選択肢だが、ポストモダン同様、その存在は一つの謎であって、ヴァーグナーなどの音楽にも関わることなので、見て見ぬふりをするわけにもいかないだろう。木田元先生の「マッハとニーチェ - 世紀転換期思想史」の帯には「二十世紀の思想展開に二人が準備したもの - フッサールを遡ってマッハに、ハイデガーを遡ってニーチェに行き着いた地点から拓けた思想風景」とある。既に手掛けている作業だ。最後までやるしかない。二十世紀に辿り着くためには不可欠だろう。

「シュレディンガーの哲学する猫」では、小林秀雄の「ニーチェ雑感」(「作家の顔」所収、新潮文庫、1961年)に言及していた。ここでは永劫回帰の思想の意味がよく理解できないということが語られている。ペンローズの共形サイクリック宇宙論に似ているのだが、人間の存在を超えた話だ。これが「超人」という考え方に通ずるのかもしれない。こうなるとサイエンス・フィクションだ。

手持ちのニーチェ本を調べていくと、竹田青嗣著「ニーチェ入門」(ちくま新書、1994年)の第3章「価値の顛倒」には、一、「超人」の思想、二、「永遠回帰」の思想が並んで、丁寧に解説されている。151〜152ページに、『当時、「エネルギー恒存の法則」がローベルト・マイヤーなどによる最新の物理学説として登場する。ニーチェは「永遠回帰」説の科学的基礎づけのために、ウィーンかパリの大学で物理学などを研究しようというプランも考えたらしい(レーヴィットによる)。おそらくニーチェの推論は次のようなものだったと思える。』とある。物理学がニーチェに影響を与えた。これが哲学茶会でE先生が言われたことだなと得心した。哲学茶会の翌朝 - ゲーム・オブ・スローンズ、スピリチュアルとレッドブル (2018/02/25)。

エネルギー保存の法則 - Wikipediaを読んでみることも一興だが、ニーチェが考えたことは「世界は、始まりも終わりもなく、したがって動機も目的も意味もなく、いわば自動機械のようにただ単に存在しているに過ぎない。」(ニーチェ入門、157ページ)ということ。これがニヒリズムにつながるということなのだろう。竹田先生も無宗教の現代人にとっては理解しがたいことのように言われているが、19世紀ヨーロッパでは衝撃的なことだったのだろう。現代人のほとんどはニヒリストだろうと思うが、どうなんだろうね。さらなる虚無主義が蔓延しつつあるのかも。

これで、一応の前進を見たのかもしれないが・・・to be continued...

更新: 2019-04-06T11:22:18+09:00
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